これまでの記事でそれぞれの楽器の特徴や販売店がわかってきたぞ
それでは、少しおさらいをしながら、『電子ピアノ』と『アコースティックピアノ』どちらを選べばいいのかを一緒に考えていきましょう。
歴史
ピアノは、古くから愛され続けている楽器の一つで、クラシック音楽からジャズ、ポップまで、あらゆる音楽ジャンルで使用されています。ピアノの歴史は、1700年代初頭にイタリアでバルトロメオ・クリストフォリが初めて”gravicembalo col piano e forte”を発明したことに始まります。チェンバロというとわかりやすいかもしれません。
その後、時間を経て数多くの改良が施され、現代のアコースティックピアノが誕生しました。
一方で、20世紀に入りテクノロジーが発達するとともに、電子ピアノも誕生しました。電子ピアノはデジタル技術を利用して音を作り出し、その多機能性と手頃な価格から多くの人々に受け入れられました。
しかし、これら二つのピアノはどのように違うのでしょうか?それぞれの特徴は何でしょうか?
本記事では、アコースティックピアノと電子ピアノの主な違いを詳しく説明して、どちらを選ぶべきかを提案します。
アコースティックピアノとは
アコースティックピアノは、鍵盤打鍵によってフレームに張られた鋼線弦にハンマーを打ちつけ、その振動を共鳴板に伝えて音を出す楽器です。
アコースティックピアノは一般的に二つのタイプ、すなわちグランドピアノとアップライトピアノに分けられます。
グランドピアノは大きく、豊かな響きを持つ一方、アップライトピアノはコンパクトで家庭用としてよく利用されます。
アコースティックピアノの音は、音響的な共鳴と物理的な振動によって生まれます。
これらは電子的またはデジタルな手段では完全に再現できない、アコースティックピアノ特有の「生の」音を作り出します。
アコースティックピアノは打鍵することで、ピアノ全体が共鳴して音を奏でる仕組みになっているんだね
このピアノの主な利点はその深みと豊かさ、そして強弱のコントロールの精密さにあります。生の弦の振動は豊かな響きと深い共鳴を作り出し、演奏者は力の加減によって微細な音量の調節を行うことができます。
ピアノの美しい音色はアコースティックピアノでしか奏でることができません。しかし、アコースティックピアノだけに生じる制約もあります。
アップライトピアノの重量は200Kg~270kg程度
グランドピアノは250kg~400kg程度
その大きさと重さで、自分で移動することは現実的ではありません。
また、定期的調律が必要となります。さらに、価格は一般的に電子ピアノよりも高価です。
最後に、音量を調節する機能がないため、マンション等の集合住宅では騒音問題を引き起こす可能性があります。
電子ピアノとは
電子ピアノは、アコースティックピアノの音を表現するためにデジタル技術を用いたピアノの一種です。これらのピアノの多くは、録音されたサンプリング音源をスピーカーから出力します。
今は各メーカーの電子ピアノが大きく進歩していて、機能も様々。タッチ感もずいぶんピアノに近づいてきました。この写真はヤマハ「スマートピアニスト」機能でハイテク機能が満載です。
電子ピアノの利点は数多くあります。
一つ目は、定期調律が不要であること。電子ピアノは気温や湿度の変化に影響されず、常に「調和」した状態を保つことができます。
二つ目は、音量調節が可能であること。ボリュームを下げたり、ヘッドフォンを使用すれば、周囲を気にせずに演奏することが可能です。また、電子ピアノは通常、複数の音色やリズムを内蔵しており、録音機能やMIDI接続など、多くの追加機能が付いています。
同じピアノ88鍵盤の楽器でもそれぞれの特徴があるんだね。価格が安いのは大きな魅力になるね
さらに、電子ピアノはその軽量さとコンパクトさから移動が容易で、価格もアコースティックピアノに比べて手頃であることが多いです。
しかし、電子ピアノもまた完璧なものではありません。
アコースティックピアノが持つ音の豊かさ、独特の共鳴、そして細やかなタッチの反応を完全に再現することはまだ難しいのです。
アコースティックピアノと電子ピアノの主な違い
それでは、アコースティックピアノと電子ピアノの間で主要な違いをまとめます
音質
アコースティックピアノは、弦と共鳴板が生み出す自然な音響効果により、深みと豊かさのある音を提供します。一方、電子ピアノは高品質なサンプリング技術を用いてアコースティックピアノの音を再現しますが、物理的な共鳴を完全に再現することは難しいです。
メンテナンス
アコースティックピアノは定期的な調律と保守が必要です。これには専門知識とコストが必要となります。対して電子ピアノはほとんどメンテナンスフリーで、調律も不要です。
価格
一般的に、アコースティックピアノは電子ピアノよりも高価です。しかし、中古市場やレンタルオプションを利用すれば、予算内でアコースティックピアノを手に入れることも可能です。
携帯性
電子ピアノは軽量でコンパクトな設計が多く、簡単に移動や運搬が可能です。一方、アコースティックピアノは重く大きいため、移動させるには専門的な技術と労力が必要です。
ボリュームコントロール
電子ピアノはボリュームコントロールやヘッドフォン出力を備えているため、演奏時間や場所を選びません。一方、アコースティックピアノの音量を制御することは困難で、特に集合住宅では騒音問題を引き起こす可能性があります。
追加機能
電子ピアノは多くの追加機能を備えています。例えば、さまざまな音色やリズム、内蔵の教育ソフトウェア、録音機能、MIDI接続などです。これに対し、アコースティックピアノは基本的にはピアノの音色しか出せず、これらの追加機能はありません。
以上のような違いを考慮に入れ、自分のニーズやライフスタイルに最も合った選択をすることが重要です。アコースティックピアノの自然な音色と深みを優先するか、それとも電子ピアノの便利さと機能性を優先するか、それはあなた次第です。
本題:どちらを選ぶべきか
それぞれの特徴や価格に違いがあることがわかりました。
では、どちらを選択するべきかズバリ回答しますね
ゴクッ・・・
ピアノ選びは、その使用目的や個々のニーズに大きく左右されます。以下では、いくつかの一般的なシナリオについて、アコースティックピアノと電子ピアノのどちらが適しているかを考察します。
初心者向け
初心者や子供には電子ピアノがよく推奨されます。理由は、多くの電子ピアノには教育用の機能が組み込まれており、自宅で練習を始めるのに最適だからです。
もちろん、アコースティックピアノを否定する理由はひとつもありません。長く使用するのであれば導入期からアコースティックピアノを選択することも最善です。
中級者・上級者向け(またはコンクール出場者)
経験豊富なピアニストや音楽に真剣な中級者にとっては、アコースティックピアノがよりベストな選択となります。アコースティックピアノは音質の深み、弦の振動に対する反応性、弾く喜びといった、電子ピアノでは得られない体験ができます。
コンクールなどで上位入選を目指すなら、「ピアノの演奏」をしっかりと行うためにアコースティックピアノ、しかもグランドピアノが好ましい選択になります。
住環境のご都合がある場合は、ハイブリッドピアノ、消音機能付きのアコースティックピアノの選択もオススメです。
音楽教室生徒向け
音楽教育の場面では、アコースティックピアノと電子ピアノの両方が有用です。アコースティックピアノは物理的な感触(タッチ)と音の深みを教え、音楽理論の基本を理解するための基盤を提供します。一方、電子ピアノはさまざまな音色やリズム、録音機能など、音楽を探求するための新たな道を開きます。
番外編:ヤマハ音楽教室の場合はエレクトーンというGOODな選択肢もあります。
予算に応じて
予算が決め手となる場合、電子ピアノは通常、アコースティックピアノよりも手頃な価格です。
しかし、中古のアコースティックピアノやレンタルオプション、ヤマハの残価設定クレジット(無金利)を利用すれば、予算内でアコースティックピアノを手に入れることも可能です。
最後にピアノ店の本音
当店には、様々な制約があって電子ピアノを選択されるお客様もたくさんご来店されるため、それぞれの特徴をお伝えした上で、お客様に応じたピアノを提案しております。
ニーズによって、ピアノ選びにはたくさんの選択肢がありますね。
ただし、純粋に『ピアノ演奏』『ピアノレッスン』という目的であれば、やはりアコースティックピアノを選択してほしいというのが本音です。演奏表現に顕著な違いが生じることも多いからです。
電子ピアノはアコースティックピアノの『完全な代理』にはなりにくいということですね。
その通りです。しかし、これまでお伝えしたように、それぞれの環境での選択肢がありますので、まずは安心できる店舗に足を運んでみて、相談してみることをオススメします。
これらのシナリオを通じて、最終的にどちらのピアノを選ぶべきかは、あなたの個々の状況、ニーズ、目標に大きく依存します。どちらも音楽表現の素晴らしい手段ですから、自分に最適な選択を行うことが重要です。
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